藤のバイト戦記

いや、マジで戦いだった。
きょうはなんか無性に具合が悪かったのです。
なのにバイト。いや、4時間だし何とかなるかと思ってました。
それに今日は「100店舗突破記念セール」だ。人がどばどばくるに違いない。
休むわけにはいかない。休んだら切られる。


そんなわけで到着。同時に嘔吐感。
藤「ぐはっ。しかしまだこのくらいなら死にはしないぞ。客の応対で己を殺せば乗り切れる」
ところが、なぜか人はまばら。
いや、雨は降ってたけどさ。それにしたって半年に1回あるかわからないセールだぜ。
そうか、これが田舎というものか!


10分も進んでなくてイライラが募る中、気合で耐えつづける。
レジを離れようとすると客がくる。このやろう、謀ったな。
そして腹痛と戦うこと1時間半。お客さんがレジにて購入を断念した品の返品に向かうことに。
棚に戻しにいくだけなんですが、俺はそのときにこの胃に詰まってるもんを何とかせにゃならんなーと思ったわけで。
で、返品で品物を戻したら職員用のトイレに行って吐いてこようと思ったのですが
「山田みかん100%ジュース」(だったかなー、そんな感じ)の置いてある場所がわからない。
馬鹿な。ジュース売り場はここしかない。狭い店舗だ、迷うはずはない。
しかしない。オレンジジュースといえばマシンガンズいわく「命の水」のあれしかない。
そこに主任登場。
主「あー、戻しといたげるからレジ戻って」
藤「あ、はい、どうも……」


3時間経過。視界が揺らぎ始めてきた。頭は痛くないが、なぜかぼんやりしてきた。相変わらず吐きそう。
お客さんへの応対でやたら噛むようになった。
あれよ、たまにオンドゥル語を話す店員っているじゃない。あんな感じになってた。
で、生鮮の主任がおもむろにやってきて俺をはじめ数人を拉致。青果作業室へ連行される。
レジが暇だとよくあることなんだけど。
刃渡り30cmの包丁を渡され、目の前には150本はあると思われる取れたて新鮮スイートコーン。
「根と髭切って、葉っぱむしってコンテナ入れてって」
そんな。風邪だかなんだか知らないけれど吐きそうな人間に刃物振り回せいいますか。
いや、向こうは知らないんだけど。


仕方なく、3人で包丁を振るう。自分のノルマを片付けてレジへ戻る、その間に吐きに行くためだ。
こう見えても俺はこの系列の店舗の精肉で働いてたことがある。勝手知ったるってわけじゃないけどちょっとはやれる。
「我は木藤優斗、とうもろこしを断つ剣なり!」


慣れてないけどすばやく切る。切る。切る。
もはや本能で切る。
と、ある程度進んだところでレジが込んできたとの情報。えー。
しかし自分は初心者っつーか一番の若輩ものっつーか入ってすぐなんでとうもろこしと格闘を続けることに。
……え、ってことは、このとうもろこしの山一人で全部さばけ言いますか。


だがそれでも俺はやり遂げた。
終了。バイト時間はあと15分だ。吐きに行こうと思ったがトイレ使用中。なんてグッドな展開なんだ。
レジへ行く。もはやここまで乗り切ったんだ、15分くらいいけるだろう。
しかし、レジの前は恐ろしい人だった。おまえらいつの間に沸きましたか。


客がすべて帰ったら22:15。
閉店処理完了時刻、22:24。
タイムカードとかすべて押し、吐いた。やっぱ吐いた。
あー、4時間も胃の中で暴れまわってるなんて君もやるね。そんなに腸が嫌いですか。
で、バスに乗り遅れた。最終の。
吐いてたせいで。


あー。しんどかった。
ちなみに今は元気です。なぜか。
変なものを食ったせいだろうか。昼の焼きそば?